こんにちは、カートドライビングサポーターのオカダです!
今回はレーシングカートのアライメントセッティングの一つキャスター角度について、
その効果と簡単にできるセッティングを紹介してみたいと思います!
クイックなターンインと安定性をバランスさせる
フロントタイヤのアライメント調整の1つキャスター角度。
キャスター角度とはフロントタイヤを真横から見たときに、キングピンが路面に対してどのくらいの角度でついているかという角度です。
図1.レーシングカート・キャスター角度
レーシングカートではキングピン取り付け部分にアジャスターが付いているのでそれを使ってセッティングします。
変更の仕方はいたって簡単です。
まず、キングピンと止めているナットを緩めます。
次にアライメントアジャスターを固定している小さなボルトを外します。(これはついていないカートもあります。)
これでアジャスターがフリーになりましたので、後は狙いのポジションにアジャスターを回すだけです。
注意点としましては、カートのアライメントアジャスターは基本的にはキャスター角度とキャンバー角度が同時に変化してしまう構造になっています。
キャンバーはまた違ったセッティングの効果を得られるのですが、キャスター・キャンバーが同時に変化してしまうとどちらが作用しているのかつかみづらいです。
そこでキャスター角度のみを変えたい場合は、アジャスターの中心線に沿ってパタッとひっくり返した位置にしてください。
(キングピンの頭の移動を前後方向のみに抑えるというイメージです。)
アライメントを測定すことができれば、測りながら作業することがベストですね。
キャスター角度の変化とその働き
キャスター角度はフロントタイヤの調整ですが、その影響はリアタイヤの安定性にも影響してきます。
キャスター角度が変わるということは、ステリングを切ったときのフロントタイヤの動く軌道が変化します。
路面に対して角度が寝てくると、フロントタイヤの上下の移動が大きくなります。
一見フロントタイヤが浮き上がってしまいそうですが、走行中のカートでフロントタイヤが浮き上がることはありません。
特にブレーキ中で前荷重の状態ではフロントタイヤは路面に強く押さえつけられています。
その浮き上がる力はどこに行くかというと、フレームを伝わってリアタイヤを浮き上がらせようとするのです。
リアタイヤが浮くということは、インリフトを促して旋回しやすくなります。
しかし、同時に安定感は失われていくわけです。
また、キャスター角度をつけすぎるとフロントタイヤを路面に強く押し付けることになりフロントタイヤの走行抵抗が増す感じになります。
実際のフィーリング
先日テスト走行したカートでキャスター角度を立てるセッティングを施しました。
走行のフィーリング変化としては、カート車体がより安定し、ブレーキをより強く踏み込めるようになりました。
ステアリングを切った瞬間の反応がマイルドになり、コーナークリッピングポイントへ向けて積極的に向きをつけられる感じです。
コーナーへの進入スピードも上げやすくなり結果的にこのカートではキャスターを立てた方が乗りやすかったです。
キャスター角度のセッティングの方向と変化の傾向
しかし、どのカートでもキャスターを立てれば良いというわけではありません。
セッティングの方向と変化を表にしてみましたので自分の状態に合うものを探してみてください。
ステアリングを切ったときに曲がりにくい | 寝かす |
ステアリングを切ったときにリアタイヤが滑る | 立てる |
ブレーキング中にリアタイヤがすぐに滑る | 立てる |
ステアリングが重く抵抗感がある | 立てる |
インリフトがしにくい | 寝かす |
ブレーキを強く残したコーナーリングをしたい | 立てる |
軽いブレーキのままコーナーリングしたい | 寝かす |
コーナーリングは問題ないが立ち上がり加速が鈍い | 立てる |
キャスターを寝かせた状態のアライメントアジャスター
(画像の右側が進行方向。黄色い線はアジャスターの中心線です。キングピンの頭は中心線より後退しています。)
キャスターを起こした状態のアライメントアジャスター
(キングピンの頭は中心線の前側に移動しています。)
またコースの形によっても傾向があり、バンクが付いたようなコーナーでは立て気味にした方がタイムを出しやすいと思います。
まとめ
キャスター角度とは路面に対してフロントタイヤを支えているキングピンの角度。
変化させるとフロントタイヤの動く軌道が変化しカート全体の動きを変化させる。
セッティングは改善したい点を考えて行う。
小さなセッティングの変化ですが、ときにはカートが別物になったかのように感じるくらい影響することがあります。
自分に合ったセッティングを探してみてください!