性能をひきだせ!?レーシングカートの慣らし走行

エンジン部品の金属表面の擦り合わせをして動きをスムーズに

新しい靴を履いて意気揚々とお出かけ。
しかし、歩いていたら靴擦れしてさんざん…。

なんて経験、誰でも一度はありますよね。
でも、少し履いているとこなれてきて快適ななる。

エンジンにもこのこなれを出してやるのが必要なのです!

新品のエンジンを買ったときや、オーバーホールをしたときにはまず慣らし走行をしましょう。

なぜ慣らし走行が必要なのか?

新品のエンジン、オーバーホール後のエンジンは内部のパーツ新品です。

新品なら問題なさそうですが、エンジンの内部はあちこちで金属同士が擦れて摩擦が起きています。

新品の部品同士はお互いの表面が慣れていないので摩擦が大きいのです。
このときに全開にしてしまうと不必要に消耗が進んでしまいます。

最悪の場合、焼き付いて壊れてしまうかもしれません。

そこで慣らし走行を行います。

KT100エンジンの慣らし走行

慣らし走行とは徐々にスピードを上げていくことです。

代表的なレーシングカート用エンジンのヤマハKT100の慣らし走行の仕方を紹介してみたいと思います。

走行速度エンジン回転数
走り出し[RPM]
エンジン回転数
MAX[RPM]
キャブレターセッティング走行時間
低速70009000ハイ0~5分
ロー1時間45分
10分間
中速900011000ハイ5~10分
ロー1時間45分
10分間
高速1100013000ハイ10~15分
ロー1時間50分
(通常)
10分間

上の表は制限なしのフルパワー仕様でサーキット秋ヶ瀬のギア比(使用最高回転15000rpm)にての数値になります。
サーキットにより使用する回転数やキャブレター開度などは変わってきますので注意してください。
回転数の目安としては使用する最高回転数-2000rpmづつで高速、中速、低速走行でよいと思います。

走行の間には休憩を挟みます。
エンジンが手で触れるくらいを目安に冷まします。

送風機を使ってエンジンを冷やす例

キャブレターのセッティングは一例です。
キャブレター自体のセッティングやサーキットなどによって基本の開度が変わってくると思いますので参考程度に考えてください。

またこれはエンジンメーカーのヤマハが推奨する慣らし走行の方法を模範したものです。

僕はずっとこの方法で慣らし走行を行っていましたが、エンジン屋さんによって変わってくることがあります。
エンジンのメンテナンスしたら慣らしの仕方も聞いておきましょう!

高速走行後は全開に走行に移るのですが、4~5周くらいはストレートエンドなど一番エンジンの回転数が上がる場所で早めにアクセルを戻し、最高回転まで使い切らない走行をしてから本当の全開走行に移った方がより丁寧です。

慣らし走行でエンジンの性能が決まる!?

本当かどうか、慣らし走行次第でエンジンの性能が決まるなんて聞いたことがありますね。

僕も何度か慣らし走行を頼まれたことがあります。
結果的に満足してもらえていたので良かったですが(笑)

特殊なことではないのですが慣らし走行のコツというか、気をつけていたことを上げておきます。

  1. 慣らし走行中はより丁寧なアクセル操作で開度は全開にしないこと。
  2. チャンバーからの排気の煙を確認しながら走り、決して焼き過ぎないこと。
  3. 加速特性を良くするために、コーナーの立ち上がりではアクセルを踏むこと。

この点は気を付けていました。

また慣らし走行は低速走行になるのでコースの使い方にも注意が必要です。

レコードライン上は邪魔になってしまうので、そこは避けたラインどりをしましょう。

しかし、右に左にの蛇行運転はNGです。
左回りのサーキットであれば、ずっとコース幅の左側を走行しましょう。
これはイン側・アウト側ではなく、あくまで常に左側を走るということです。

そうすれば他の人は右からスムーズに抜いて行ってくれます。

あとは後続の人が気づきやすいように”慣らし”などとリアカウルに書いたり張ったりしてアピールしましょう。

この辺りはマナーですね。

まとめ

新品エンジンやオーバーホール後は慣らし走行が必要です。

消耗を和らげるだけではなく、性能に影響する かもしれません。

慣らし走行をするときは他のカートへも配慮しましょう。

ABOUTこの記事をかいた人

shogo okada

東京都在住。一児の父親。 高校生からレーシングカートを始めカート歴は20年になりました。 普段はカートショップやカートコースのスタッフとして、サーキットサポートやフレーム・エンジンメンテナンス、ジュニアカートスクールのコーチなどカート全般にかかわる活動をしています。 サーキットのサポートでは、"ドライバー目線を大事にする"をモットーに、その人に必要なアドバイスができるように心がけています!